ウツボカズラという植物をご存じでしょうか?コロッとした捕虫器と呼ばれる袋が可愛らしく、虫を捕獲してくれるので、観賞用だけでなくとても実用的な人気の植物です。ウツボカズラの上手な育て方や植え替え方法などをご紹介していきましょう。
「ウツボカズラ」とは?
赤道近くの東南アジア地域に自生しているウツボカズラは、およそ70種類もあると言われている食虫植物です。高温多湿のジャングルや、涼しく夜間が霧に覆われるような高山で多く見られます。
分泌液を発して捕虫器と呼ばれる袋の中に虫を誘いこみます。その中に落ちた虫は外に出ることができなくなり、捕虫器の中にある消化液で消化された後、栄養分に変化します。上についているフタは虫が入っても閉じることがなく、雨よけの役目をしています。
日々のお手入れ方法(置き場所・水やり・肥料など)
ウツボカズラを上手に育てるためのポイントをチェックしてみましょう。植物を育てたいけれど虫が苦手な方は、ウツボカズラをそばにおいておくと虫よけになるので、ぜひ育て方を覚えておいてください。
置き場所
ウツボカズラは1年中日当たりが良い場所に置いてください。ただし真夏の強い日差しには弱いので、午前中の比較的弱めの日光に当て、その後は半日陰に移動させます。また、少し耐寒性に弱いので冬場は気温が15度以下になったら室内へ入れて育てます。15度以下になると捕虫器が枯れてしまう可能性がありますが、葉が残っていれば春には新しい葉が生えてくるかもしれないので、捨ててしまわないようにしましょう。
・置き場所のポイント
5月〜10月半ば・・・日がよく当たる戸外。真夏は午前中のみ日に当てること。
10月後半〜4月・・・気温が15度以下になったら室内の日当たりが良い場所へ。
水やり
ウツボカズラは水をとても好む植物なので、水切れには要注意です。生育期である5月〜10月は水をたっぷりやることが大切で、特に夏場はこまめに水やりをしてください。また1年中霧吹きをして育てることもおすすめします。常に茎や葉が湿った状態に保つのがポイントです。葉が枯れてきたら水分が足りない証拠なので、よく観察しておきましょう。
秋から冬場にかけては水やりの回数は減るので、土の表面が乾いていたら水やりをするぐらいにしておきます。ウツボカズラは水を好む植物ですが、冬場に水をやり過ぎると根腐れの元になり、折角夏を越しても冬にダメにしてしまうことになりかねないので気をつけてください。
肥料
本来自生しているウツボカズラは肥料を与える必要がないと言われていますが、4月〜10月の生育期に2〜3ヶ月に1度の割合で液体肥料を与えると良いでしょう。肥料をやりすぎてしまうと栄養が足りている状態になり、捕虫器をつけなくなってしまうので、肥料は控えめにしておきます。
害虫対策
食虫植物のウツボカズラには、まれにカイガラムシが発生してしまうことも。見つけたらこすって削り落とすか薬剤を散布しましょう。また、なめくじは葉を食べつくしてしまうので、発見したらすぐに取り除くようにしてください。
5月〜6月に行う植え替えのやり方
ウツボカズラは切り戻しや植え替えをしてやることで増やすことができます。5月〜6月に行う植え替えのやり方を覚えておきましょう。水を好む植物なので、用土は水ごけを使うのが無難です。
植え替え方法
5月〜6月頃に根を引き抜いて傷めないように気をつけながら、水ごけを新しいものに取り替えます。根に腐った部分があればハサミで切って取りのぞいておきます。鉢の底に軽石を敷いて、その上に新しい水ごけを巻いた株を植え付けてください。ツル性の植物なので茎が倒れてくる可能性があります。その時は支柱を立てて対策しておきましょう。
切り戻し
ウツボカズラのツルはどんどん伸びて形が崩れやすいので、株元に新芽を見つけたら伸びすぎたツルは切り戻し、新芽を伸ばして育てましょう。切り戻した茎は挿し木にして増やすことができます。
増やして楽しむ方法
ウツボカズラを増やすには、挿し木と取り木の2つの方法があります。それぞれのやり方についてご紹介します。
挿し木のやり方
6〜8月頃に葉が付いた茎を先から10cmほど切り、下の方の大きな葉を取りのぞきます。茎の切り口は斜めに切りそろえて水ごけで巻き、鉢に入れておきます。根が出るまでには1ヶ月ほどかかりますが、その間も水分は絶やさないように注意してください。伸びたツルを切った挿し穂をすぐに植えつけない場合は、一旦水に浸しておいてください。
取り木のやり方
茎を斜めに3分の2ほど切って水ごけで挟んだら、更にまわりに水ごけを巻いてビニール袋で包みます。この時の水ごけにはしっかり水分を含ませておいてください。
水切れに注意し、夏場や冬場の対策を覚えていれば手軽に楽しめるウツボカズラ。気になる虫を食べてくれる便利さと、何よりその可愛らしい形に癒されます。苗を見つけたら早速育ててみてくださいね。