食用や薬用として、古くから私たちの生活に関わりの深いヨモギ。食べるだけでなくお灸のもぐさにも使われるなど、健康や美容に働きかけてくれるだけでなくその香りにはリラックス効果があるなど、日本を代表するハーブといえます。今回はそのヨモギをもっと手軽に使うために、自宅での簡単な栽培方法についてご紹介します。
ヨモギとは?
ヨモギはキク科の多年草で、山野だけでなく道ばたや空き地などにも多く自生しており、春の野草としてその若芽を食用にするほか、薬草として利用したり、お灸のもぐさや、ヨモギ蒸しといった民間療法にも使われています。
ヨモギには250種の種類があり、日本ではそのうち35種類のヨモギがあるとされていますが、代表的なヨモギはカズサキヨモギとオオヨモギという2つのヨモギです。一般的に食用や薬用にされるのはカズサキヨモギで、オオヨモギは一般的なヨモギより大型ですが、香りがあまりありません。
ヨモギを植える際に注意したいこと
ヨモギは生命力が強く、育てやすい植物ですが、家庭で栽培する際には注意が必要です。
他の植物の生育を妨げる
寒さにも暑さにも強いヨモギは、生命力が強く簡単に増やすことができます。しかしその繁殖力の強さから、近くにある他の植物を駆逐してしまうこともあります。地植えをする際には、地面に板などを入れ、繁殖をとどめる工夫をするか、鉢植えやプランターで育てるようにしましょう。
アレルゲンになる
ヨモギの花粉は、ヨモギアレルギーのアレルゲンです。そのためアレルギー体質の人は、ヨモギアレルギーになる可能性もあります。また家族や周囲の人にアレルギーの人がいないかどうかも事前に確認するようにしましょう。
ヨモギの栽培方法〜土作りから植え付けまで〜
ヨモギの栽培に適した季節は春の3月頃もしくは秋の9月頃です。春蒔きにした場合、ヨモギの若芽は3月頃から摘み取り、収穫は夏前までとなります。
ヨモギの土作りについて
ヨモギは生命力が強く、極端にやせた土地でなければ問題なく生育します。水はけのよい土が植えるのに最適なので、鉢植えにする際には赤玉土と腐葉土を7:3の比率で混ぜて使います。地植えにする場合は、特に何もする必要はありませんが、やせた土地の場合は1メートル四方につき堆肥や腐葉土を5L、苦土石灰を100gほど混ぜ込んで土作りをします。
ヨモギを地植えにする場合は、他の植物の生育を妨げないためにも、土の中に囲いを作るようにします。また繁殖力が強いため、1年か2年に一度は植え替えをおこなうことが必要となります。
ヨモギの植え付けについて
植え付けをする際にはヨモギの種を購入するか、もしくは山野で自生しているものを、土ごと持ち帰り植え付ける方法もあります。植え付けは春か秋となりますが、自生しているものを使うなら春の3月頃がおすすめです。
ヨモギの栽培方法〜植え付け後から収穫まで〜
ヨモギは植え付けたあとはそれほど手入れを必要としませんが、収穫までに注意したいことがいくつかあります。
水やりについて
鉢植えの場合、土の表面が乾いてきたら水やりをするようにしましょう。地植えなら植え付けから2週間ほどは毎日水やりをし、そのあとは特には必要ありません。
肥料について
鉢植えの場合も地植えの場合も、植え付けの際に肥料を混ぜ込みます。地植えはそのあとの肥料は特に必要ありませんが、鉢植えの場合は生育期になる春以降秋まで月に1、2回程度液体肥料を与えます。
注意したい虫の被害
ヨモギは香りがあるため、虫がつくことが少ないのですが、アブラムシの被害に遭いやすい植物です。茎から汁を吸われて枯れてしまいますので、少ないうちに取り除くことが必要です。アブラムシの殺虫剤などもありますが、ヨモギは葉を食用や薬用で口にしますので、ガムテープなどで取り除く、また牛乳を吹き付ける方法もあります。
大量に発生すると手の施しようがなくなるので、まめに観察することが必要です。また肥料のやり過ぎや、葉が重なり合って風の通りが悪くなっているときにも発生しやすいので注意が必要です。
ヨモギの増やし方
大きくなった株を分けるか、実ができたあとに種を収穫し、植えることができます。種の収穫は、茎ごと刈り取ってビニールに入れ、つるしておけば種子が落ちます。株分けをする場合は花が終わった9月か10月頃に株を2つか3つに分け、そのまま植えます。
収穫の時期について
ヨモギは葉の柔らかい新芽が3月頃、そして6月から7月頃には葉を収穫します。草餅などに使う場合は新芽を使いましょう。乾燥させて使うなら、葉を収穫して天日干しします。
収穫したヨモギの活用方法
柔らかい若芽はそのまま天ぷらにすることもできますし、重曹で茹でてから水につけてアク抜きをして、すりつぶしてから餅に混ぜて草餅にします。また生の葉をお酒に漬け込む方法や、乾燥させた葉でハーブティーを楽しむこともできます。
大量に収穫できますので、収穫したらよく洗い、下ゆでをしてから冷凍保存も可能です。天ぷらやおひたしにする場合は、収穫してからなるべく早めに、2日以内には食べるようにし、それ以上余る場合は下ゆでし、そのまま冷凍するか、すりつぶしてから冷凍するようにしましょう。
また天日干しで乾燥させ、ハーブティーにすれば長期間の保存が可能です。水気が残らないようしっかり干し、密封容器に乾燥剤を入れ、湿気が入らないよう保存しましょう。
ヨモギは生命力が強く、繁殖力も強いので、食べきれないほど増えてしまう可能性があります。手軽に始められる鉢植えからぜひ栽培を始めてみてくださいね。