藤の花の育て方のポイント

薄い紫色の花を咲かせることから、藤という名を持つ藤は、つるが巻き付いて花を垂らします。藤棚という藤を絡ませる棚、パーゴラが作られることが多く、名所となっているところも多くあります。

日がよく当たる場所で生育するため、藤棚がある下は日よけにもなり、日本の固有種なのでこの風景は日本だけに見られるものです。大がかりな藤棚を見慣れていると、家庭で藤を育てるのは難しいと思いがちですが、鉢植えができる園芸種も多くあります。鉢植えにすると、広がっていかないため、藤の花を身近で楽しむことも可能です。

そこで今回は、藤の花を家で植える方法や、育てるためのコツについて詳しくご紹介します。


藤の花とは?

藤の花はマメ科の木で、日本の固有種です。大きく分けると、上から見てつるの巻きが時計回りの右巻きの「ノダフジ」もしくは「フジ」、逆向きの藤は「ヤマフジ」と呼ばれており別の品種です。つるを木に巻き付けて生長し、大きく広がり、そこから花を下に向けてしだれさせます。花茎が長く伸び、小さな花がたくさん咲きます。日当たりのよい場所を好んで広がるため、公園などでは棚を作って藤のつるを伝わせ、日よけの藤棚を作ります。花が咲くのは4月から5月ごろになります。

本州や四国、九州などの温かい地域の低い山や林などに多く生育しています。家などで育てる場合、つるがどんどん伸びてしまうので、剪定をしないと日が十分に当たらない場所が出てきて、花が咲かなかったり弱ったりする原因になります。

藤棚を作るスペースがない場合には、鉢植えで育てることも可能です。鉢植えの場合、限られたスペースで育つので、大きくなりすぎません。鉢の大きさを変えて植え替えれば長く花を楽しむことも可能です。またベランダなどで柵を壁に立てかけて藤棚の代わりにしてつるを巻き付かせるといったことも可能です。

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藤の花を植える時期や植え方

藤の花を植える時期

藤は落葉樹なので、11月に葉が落ちると冬を越して春に芽が出るまで休眠します。藤を植えるのにも適した時期はこの休眠期で、11月から3月までの間に、鉢や庭に植え付けをします。種から育てることも可能ですが、市販されているのは苗がほとんどなので、苗を使って植え付けをしましょう。

鉢植えや庭植えに適しているのは、日当たりの良い場所です。植える土についてはどれであっても大丈夫ですが、水はけがよく栄養がしっかりある土を購入して使うといいでしょう。根がしっかりつくことが必要なので、通気性のよい腐葉土などが混ぜ込まれたものがおすすめです。

また鉢植えにする場合は、苗よりも大きな鉢を用意すると、根が伸びてしまい花の方に栄養が届かなくなってしまいます。苗に合わせた鉢に植えるようにし、花が咲いた後の休眠期に合わせて段々と鉢を変えていく方がいいでしょう。また根が切れると生長に支障が出てしまうので、植える際には注意が必要です。

藤の花の植え方

藤の苗をそのまま土に植え付けます。土は水はけのよい黒土に腐葉土を混ぜます。植え付けた後は乾燥させないよう、土の表面が乾いたら水やりをするようにします。鉢植えの場合は風が当たらない日当たりのいい場所に置き、花が咲いたら雨が当たらない場所に移動させるようにしましょう。地面に直置きすると、根が伸びていってしまうので、棚などに置いておくことが必要です。

水やりについて

乾燥に弱いため、土が乾いたら水をやるようにします。花がなかなかつかない場合は、腰水法といい、水を入れた容器に鉢を浸します。こうすることで根にストレスを与え、花の方に栄養が向かい、花がつきやすくなります。ただしやり過ぎると根腐れの原因にもなるので注意が必要です。つぼみができたらすぐに引き上げましょう。

咲いた花の処理

花が枯れたまま放置すると、種ができてしまいます。そうすると栄養分が全部種の方に行ってしまい、根が弱ってしまいますので、花がら摘みを行います。枯れた花を根元から摘みます。つるは伸びても花はつきませんので、そのままにしておいても問題ありません。つるや木の剪定は、休眠期に入ってから行うようにしましょう。

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育て方のポイント

水やりはしっかりしよう

鉢植えの場合、表面の土が乾いたら、鉢の下から水が出るほどたっぷりあげます。夏など暑い時期は1日に2回ほど水をあげなければなりませんが、冬はそれほど頻繁にあげる必要はなく、土が乾いた時だけでかまいません。地植えの場合は水やりの必要は基本的にはありませんが、夏などは土が乾いていたら朝や夕方の涼しい時に水やりをしましょう。

肥料はいつあげればいい?

肥料が必要になるのは、葉が散った後の休眠期です。リン酸とカリウムを多めに、有機質肥料を根元にやりましょう。

冬の間の鉢植えの管理は?

寒さに強いので、基本的には屋外で育てます。部屋の中は乾燥してしまうので、花を楽しむ場合でも2、3日程度の短期間にして、なるべく外で日に当てるようにしましょう。

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剪定っていつやればいいの?

花が咲く時期は、葉もつるも生長するため、花が咲く邪魔にならないかが心配です。藤の花に必要な剪定について、その時期やすべきことをご紹介します。

夏に必要な剪定

花が咲いた後、花芽をしっかりつけさせて、来年に備えるために行います。花が咲いた後、6月下旬までに、絡んだり重なっているつるを元から切り落とします。この時終わった花も取り除きましょう。枝が重なっているところも、花芽がついていないものは枝抜きをして風通しを良くします。枝の付け根から切るようにしましょう。

冬に必要な剪定

全体のバランスを整えるために行います。葉が落ちた後の休眠期である11月から3月の間に行います。長く伸びすぎた枝やつる、花芽のない枝を切り落とします。ただし品種によっては、花芽と葉芽がよく似ていて見分けがつかない場合もあるので、よく分からない時には枝やつるの長さを整える程度にしておきましょう。

水やり

花を増やす方法は?

藤の花が咲いた後の種を保存しておき、種から増やす方法もありますが、木がきちんと生長して花をつけるまでは、それこそ何年もかかるだけでなく、花をつけないこともあります。花を増やす方法としておすすめなのは、挿し木にする方法です。花が咲く前の3月から4月、もしくは花の終わった後、5月から7月の間です。元気な枝を選んで、15cmから20cmほどの長さにカットし、培養土に挿していきます。土は赤玉土と腐葉土を混ぜるか、挿し木用の土を使うといいでしょう。

挿した後は、日陰で水切れに注意しながら育てます。1ヶ月ほどで根が伸びてきますので、根が育ったら鉢植えに植え替えて育てていきましょう。この場合もきちんと根付いて花がつくまでは時間がかかりますが、しっかり生育すれば大きく育ちます。

寒さや乾燥にもある程度強い藤は、しっかり面倒を見れば何年も楽しめる藤の花。ぜひお家でも育ててみてはいかがでしょうか。

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