シソはお刺身についていたり、天ぷらに使われていたりと目にする機会も多いですが、どのような食べ物なのか具体的に知らないという人も多いのではないでしょうか。
今回はシソの栄養成分や効能について詳しくご説明いたします。
そもそも「シソ」ってどんな野菜?
シソはシソ科シソ属の野菜でハーブの一種です。中国やミャンマー、インドが原産ですが、現在もアジアで広く栽培されており、日本では愛知県や群馬県で生産量が多いです。
シソの歴史
シソは古くから使われてきた食べ物です。中国では西暦200年ごろから薬草として使用されており、日本でも縄文時代の遺跡からシソの種が発見されています。
栽培が始まったのは奈良時代。中国と同様に薬草として使用されていましたが、室町時代からは食用として利用されていたといわれています。
シソの種類
日本で食用として使用されているシソは青じそと赤じその二種類です。
青じそ
青じそは葉や茎が緑色のシソ。葉は大葉とも呼ばれており、お刺身の付け合わせにしたり、天ぷらとして食べたりされる種類です。
花が付いた穂も「青芽」や「青穂」として出回っており、お刺身についていたり、薬味に使われたりしています。
赤じそ
赤じそは葉や茎が赤紫色をしたシソ。梅干しを作るときに使われたり、乾燥させたものを細かく刻んでゆかりとしてふりかけに使われたりすることが多いです。
青じそは一年中通してスーパーなどで手に入れられますが、赤じそは旬の6~7月ごろに出回ります。
シソの持つ栄養成分
薬草として使用されていた歴史もあるシソは栄養成分を豊富に含んでいることが特徴です。シソに含まれる主な栄養成分は次の通りです。
βカロテン
シソは野菜の中でもβカロテンの含有率が高いです。βカロテンは体内でビタミンAに変わる色素で、強い抗酸化作用を持っています。
ぺリルアルデヒド
シソ特有の香りを出すぺリルアルデヒドは防腐作用があることが特徴。昔からお刺身にシソが付けられていることが多いのはぺリルアルデヒドの防腐作用を利用して食中毒を予防するためです。
ポリフェノール
シソにはロズマリン酸、ルテオリン、シソニンなどのポリフェノールが豊富に含まれています。これらもβカロテンと同様に強い抗酸化作用を持っています。
ビタミン
シソにはビタミンBやビタミンCなどのビタミン類も含まれています。また、ビタミンAの効能や効果も期待できるでしょう。
ミネラル
シソに含まれるミネラルはナトリウムとともに働いて筋肉を正常に動かすカリウムや血液として酸素を運ぶ鉄、骨を作るカルシウムなどです。
食物繊維
シソには食物繊維も入っています。シソに含まれる食物繊維の大部分が不溶性食物繊維であり、水に溶けにくく、便のかさを増したり、体内にある有害物質の排出を促したりする効果があります。
α-リノレン酸
α-リノレン酸は体内で合成できない脂肪酸です。体内ではEPAやDHAに変換されて血液をサラサラにします。
シソの効能
シソに含まれる栄養成分は次のような効能をもっています。
生活習慣病の予防
βカロテンやポリフェノールの抗酸化作用によって抑えられる活性酸素は動脈硬化や糖尿病、アルツハイマーなどの原因です。このため、βカロテンやポリフェノールを含んだシソは生活習慣病に役立つといえます。
アレルギー症状の緩和
シソに含まれるロズマリン酸には免疫機能を正常に保つ働きがあります。このため、シソは免疫機能が過剰に働いて症状が現れるアレルギーの症状を緩和させる効能をもっています。
貧血の予防
鉄分が不足すると貧血になります。シソには鉄分に加え、鉄分の吸収を助けるビタミンCも含まれているため、シソを食べると貧血の予防につながります。
疲労回復
シソに含まれているビタミンBはエネルギーの代謝にかかわります。栄養素をエネルギーに変換する作用があるため、疲れたときにシソを食べるとエネルギーが湧いてくるでしょう。
食欲増進、消化促進
シソの香り成分であるぺリルアルデヒドは嗅覚を刺激することによって胃酸の分泌を促します。胃酸が分泌されると食欲がわいたり、消化が促進されたりします。
風邪の予防と症状の改善
ぺリルアルデヒドは抗菌作用があります。さらに、βカロテンがビタミンAに変わることで皮膚や粘膜の強化に役立ち、ウイルスの侵入を予防します。このため、シソには風邪を予防したり、症状を緩和したりする効能があるといえます。
肌の調子を整える
シソには活性酸素による肌の老化を予防するβカロテンやポリフェノールが豊富に含まれています。また、コラーゲンを作り出すビタミンCも含まれているため、肌を整えたいときに便利です。
肥満の予防
シソに含まれるロズマリン酸は糖の吸収を抑えて糖を排出させる働きがあると考えられています。糖は体内で脂肪として蓄積される栄養素であるため、糖の吸収を妨げると肥満の予防につながります。
むくみの予防
シソに含まれるミネラルの一種カリウムは体内で塩分の濃度を減らす働きがあります。塩分はむくみのもとであるため、シソを食べて塩分を排出させることでむくみの予防につながります。
血流促進
α-リノレン酸は体内でDHAやEPAに変わります。これらの成分は悪玉コレステロールを減らしたり、血管壁をやわらかくしたりすることで血液をサラサラにして血行を促進させます。血行が促進されれば、冷え性やむくみの改善も期待できます。
便秘の予防
シソに含まれる食物繊維は体内で水分を吸収して便をかさ増しします。便が増えると大腸の蠕動運動が刺激されて便秘の解消につながります。
目を健康に保つ
βカロテンがビタミンAに変換されると目の網膜にあるロドプシンというタンパク質の生成に役立ち、夜盲症や眼精疲労を防ぎます。
シソを食べて健康になろう
シソは豊富な栄養素を含んだ食べ物です。普段、なんとなく口にしている人もこれからは積極的にシソを食べて健康に役立てましょう。
天ぷらやお吸い物など定番の料理だけでなく、細かく刻んでサラダに入れたり、生のシソをご飯に混ぜたりしてもおいしいです。