ミモザアカシアは黄色い花を房状に付ける花木です。見た目がかわいらしく、香りも良いため、家庭で育てるのに人気で、最近はリースなどにして楽しむ人も増えてきます。
今回は、ミモザアカシアの特徴や育て方、ミモザアカシアのおしゃれな飾り方などについてご紹介いたします。
「ミモザアカシア」とは
ミモザアカシアはマメ科アカシア属の植物です。アカシア属の植物は南半球の熱帯から亜熱帯を中心に1,200種類以上が存在すると考えられていますが、そのうち過半数がオーストラリアに自生しています。
日本で「ミモザアカシア(ミモザ)」と呼ばれている植物はフサアカシアやギンヨウアカシアなどアカシア属の花木ですが、実際は、ミモザはオジギソウの学名です。
フサアカシアやギンヨウアカシアの葉や花の形がオジギソウに似ていることから、イギリスで誤って広まってしまい、日本でも、ミモザがアカシア属の花木を指す言葉として定着しました。
ミモザアカシアは常緑性で背の高い木です。一年を通して緑の葉をつけ、春には黄色の小さな花が房状に咲きます。緑と黄色のコントラストが美しく、家庭で育てられているほかに、街路樹として植えられていることも珍しくありません。
特に、ギンヨウアカシアは名前の通り緑がかった葉が綺麗なので、庭に植えておけば、一年を通して観賞を楽しめるでしょう。なお、イタリアでは毎年3月8日の国際女性デーに、男性から女性へミモザアカシアをプレゼントする風習があります。
ミモザアカシアの育て方
ミモザアカシアは中級者向けの花木ですが、正しい育て方を知っていれば、苗木を育てた経験がない人でも十分花を咲かせられます。ミモザアカシアの育て方を確認していきましょう。
苗木選び
ミモザアカシアの苗木はホームセンターや園芸店などで売られています。苗木は幹が細く、折れやすいので、できるだけ丈夫なものを選ぶことが栽培成功へのポイントです。
丈夫な苗木が欲しい時は幹が太く、葉がイキイキとしていて、枝が多いものを選びましょう。幹が細くてグラグラな苗木や葉の色が黄色っぽい苗木、枝が少ない苗木は弱い可能性が高いので、避けた方が無難です。
植え付ける場所を選ぶ
ミモザアカシアは比較的、寒さに強い木です。そのため、関東以西の地域では、特別な寒さ対策をしなくても、庭で冬を超えます。しかし、日が当たらない場所では、生長が止まって花が付かないため、日向か半日陰の場所に植え付けましょう。
また、ミモザアカシアを植える時は風通しの良さも考えなければなりません。風通しが悪く、湿気が多い場所に植え付ければ、病気のリスクが高まるため、場所選びには気をつけましょう。
なお、ミモザアカシアは縦にも横にも大きくなります。生長し過ぎたら、剪定で整えられますが、狭い場所では十分に生長しない可能性があるので、スペースに余裕がある場所に植え付けるのが良いでしょう。庭に植える余裕がなければ、鉢植えでも育てられます。鉢植えの場合も、日当たりが良く、風通しの良い場所で育てましょう。
植え付け方法
苗木を購入して場所を決めたら、ミモザアカシアを植え付けます。植え付けに適した期間は3月から5月、9月から10月です。期間内でも暖かく晴れた日を選べば、しっかりと根付いてくれるでしょう。詳しい植え付け方法を地植えと鉢植えに分けて見ていきます。
庭植え
ミモザアカシアには水はけのよい土が適しています。植える場所の水はけが不安な場合は、植え付け前に腐葉土と赤玉土を混ぜて、土の通気性を良くしておきましょう。水はけがよくなったら、根よりも二回り程度大きい穴を掘り、腐葉土をすきこみます。その後、根を崩さないように苗木を植えて、たっぷりと水やりをしておきましょう。
鉢植え
鉢植えにする場合は、鉢の下に鉢底石を入れて、その上から市販の培養土を加えます。培養土だけでも良いですが、水はけが心配な場合は腐葉土を足しておくと安心でしょう。土ができたら、根を崩さないように優しく苗木を植えて、たっぷりと水をやります。
水やり
根付くまでは、土が完全に乾燥することがないように、こまめに水を与えましょう。ミモザアカシアは乾燥に強く、地植えの場合は、根付いたら基本的に水やりは必要ありません。乾燥が続く暑い時期のみ、水を与えましょう。鉢植えの場合は、土の表面が完全に乾いてから、1日たった後に水やりします。鉢の底から水が出るくらいの量を1回で与えましょう。
追肥
ミモザアカシアなどのマメ科の植物は生長に欠かせないチッソ分を自分で作ります。そのため、こまめな追肥は必要ありません。肥料をたくさん与えてしまうと、根がダメージを受けてしまうことがあるので、開花後に少量の化成肥料だけを与えてください。花がたくさんついて、葉がイキイキとしている場合は、腐葉土や赤玉土を土に混ぜるだけでも大丈夫です。
剪定
ミモザアカシアの枝は折れやすいです。そのため、綺麗に育てるためには剪定が欠かせません。花が咲き終わったら、7月までに選定をして形を整え、枝が折れるのを予防しましょう。枝が長く伸びすぎている部分や込みすぎている部分を切り、樹高が伸びすぎた枝は上部を摘心します。枝は新芽か葉、小枝が残っているところで切るようにしてください。
なお、剪定の時期が遅れると、翌年に咲く花の量が減少します。なるべく早く剪定すれば、台風などで倒れるのも防げるため、花が咲き終わったらできるだけ早くに剪定を済ませるのがおすすめです。
育て方のポイントは?
ミモザアカシアの栽培を成功させるためには、次のポイントを知っておきましょう。
病害虫
病害虫の影響を受けると、生長が止まったり、枯れてしまったりすることがあります。特に、うどんこ病とカイガラムシの予防には力を入れましょう。
うどんこ病
うどんこ病はその名の通り、葉が白く、粉っぽくなる病気のことです。カビによって発生し、症状が進むと、光合成が妨げられて生長が止まります。放置しておくと、ミモザアカシアが枯れるだけでなく、ほかの作物に感染することも多いので、発見したら早目に対処しましょう。
うどんこ病には、薬剤の散布が効果的です。ホームセンターや園芸店などで販売されているうどんこ病対策用のスプレーを葉にかけて、病気の広がりを防ぎましょう。初期の場合は、水に溶かした重曹でも症状が落ち着くことがあります。
カイガラムシ
ミモザアカシアにはカイガラムシがつきやすいです。カイガラムシが付くと、樹液が吸われて木の生長が止まったり、木が枯れたりすることがあります。また、カイガラムシの排泄物は病気を引き起こします。
葉の裏に付きやすいので、こまめに葉の裏をチェックし、見つけたらブラシなどで削り落としましょう。数が増えてしまった場合は、対処が難しいので、薬剤の散布がおすすめです。
なお、カイガラムシは種類によって大きさや見た目が異なりますが、ミモザアザラシには白いイセリアカイガラムシが付きやすいです。
苗木は風に注意
ミモザアカシアの苗木の幹は細いです。そのため、風に当たると苗が折れてしまうことが珍しくありません。苗を植えつけたら、添え木をして、風からミモザアカシアを守りましょう。鉢植えの場合は、風が強い日はあまり風が当たらない場所に苗木を避難させるのもおすすめです。
庭植えは移植しない
ミモザアカシアは移植に弱いです。よって、地植えをしたら、その場所でずっと育てることをおすすめします。大きくなってきたら剪定をして調整し、同じ場所で生長させましょう。
鉢植えの場合は、生長とともに根が詰まってくるため、植え替えが必要です。5月から6月に根より二回り程度大きい鉢に植え替えましょう。突然、大きい鉢に植え替えると、一気に根が生長して木に負担がかかるため、少しずつ生長させることがポイントです。
なお、植え替える場合も根を傷つけないように、根の周りに付いた土をほぐさずに優しく移動させましょう。
アレルギーに注意
フサアカシアやミモザアカシアの花粉はアレルギーを起こすことがあります。花粉症の人やアレルギー体質の人は植える前にアレルギーを検査しておくと安心でしょう。なお、白い花を咲かせるニセアカシアはアレルギーの心配が少ないと考えられています。
ミモザアカシアの飾り方
ミモザアカシアは見るだけでなく、いけたり、アレンジしたりしても楽しめます。上手に育ってたくさん花を付けたら、部屋にミモザアカシアを飾って楽しんでみましょう。ここからは、ミモザアカシアの飾り方をご紹介いたします。
生け花を挿す
ミモザアカシアは存在感のある花です。そのため、枝を1本だけ切って可愛い花瓶に挿すだけでも上品で美しい雰囲気に仕上がります。花が付いていない時期は、葉をほかの花と合わせて楽しむのも良いでしょう。
ミモザアカシアのリース
ミモザアカシアはドライフラワーにしても可愛いです。ドライフラワー初心者でもできるミモザアカシアを使ったリースの作り方を見ていきましょう。
材料
・リースの土台
・花用のはさみ
・ミモザアカシア:7本程度
・麻ひも
ミモザアカシア以外の材料は100円ショップなどで購入できます。
作り方
- 麻ひもをリースに付けて、壁に引っ掛けるための輪っかを作ります。
- ミモザアカシアを15cm位に切ります。
- 土台にミモザアカシアを縛るための麻ひもを結びます。端は10cm程度余らせましょう。
- 土台が見えないように数本のミモザアカシアを置きます。
- 3の麻ひもでミモザアカシアを固定します。
- 3〜5を繰り返してリースをミモザアカシアで埋めます。
- 風通しが良い場所で数日から1週間置いておきます。
水分が抜けると、ミモザアカシアのボリュームが減るため、リースを作るときは花を多めに使いましょう。ミモザアカシアを麻ひもで固定する時は、しっかりと土台に巻き付けて、取れてしまわないように注意してください。
慣れてきたら、ほかの葉や花をミモザアカシアと一緒に固定すると、イメージの違うリースが完成します。
ミモザアカシアを楽しもう
ミモザアカシアは房になって咲く花が可愛く、花が落ちた後も美しい葉を楽しめる花木です。正しい植え方と上手に育てるためのポイントを知っておけば、園芸初心者でも十分に花を咲かせられるので、気になる人はチャレンジしてみると良いでしょう。
綺麗な花が咲いたら、見た目や香りを楽しんだり、フラワーアレンジメントしたりするのがおすすめです。