レモンの木の育て方

レモンは料理やお菓子作りに使ったり、紅茶に浮かべたりとさまざまな使い方ができる果実です。ビタミンCなどの栄養素が豊富なので、健康や美容にも役立ちます。

育てるのが難しそうな印象がありますが、果実の中では園芸に慣れていない人でも比較的簡単に栽培できて花も楽しめるので、最近は自宅でレモンを育てる人も多いです。

ここでは、レモンの木の植えつけ方や管理方法、レモン栽培で気をつけるべき病害虫などについてご紹介いたします。


レモンの木の植え方は?

レモンの原産地はインドです。そのため、温暖で乾燥した気候を好み、寒さは苦手です。ただし、最低気温が3℃程度までの気候であれば育てられるので、瀬戸内地方以西の暖かい内陸部では、露地栽培でも生長します。

また、リスボンやマイヤーレモンなどの耐寒性に優れた品種を選んで鉢植えし、適切な防寒対策を行えば、関東地方以西の地域でもレモンを収穫できます。

レモンの植え付け時期

レモン苗の植え付けは春に行います。ホームセンターや園芸店などでは秋ごろから春にかけて苗木が販売されるので、購入して3月中旬から4月中旬の間に定植しましょう。

細かい根がたくさん付いていて幹が太く、緑の葉がたくさん付いた苗を選ぶと、丈夫に育ちやすいです。また、接ぎ木苗の場合は接いだ部分がしっかりとしていてきれいなもの、挿し木苗の場合はぐらつきがなく、芽が出ているものを選べば失敗が少ないと思います。

一方、こぶのようなものが付いた苗や白っぽいカビが付いた苗は病気に感染している可能性があるので、避けた方が無難です。なお、実が付いた苗を購入した場合は、収穫を終えてから植え付けるのがおすすめです。

早く苗を購入した場合は、霜に当たったり、寒さに負けたりしないように、冷え込む時間帯などは玄関などで管理してください。

なお、レモンは種からでも育てられますが、収穫までには長い時間がかかります。満足できる実を収穫できるようになるまでには7年以上かかることが多いので、初心者の人は収穫までの期間が短く、管理もしやすい苗からの栽培に挑戦しましょう。

鉢植えの場合

鉢植えの場合は、レモンの木の根回りのよりもひと回り大きい植木鉢を用意します。たくさん実を収穫するためには、根を張らせる必要があるので、大きめの植木鉢を使うと良いでしょう。

最低でも直径が30㎝以上の植木鉢を使い、リスボンなどの大型に生長するレモンの木を育てる人は50㎝以上の植木鉢を準備するのがおすすめです。

植木鉢の底には、土が流れ出ないように鉢底ネットを付けて、撥水性を高めるために鉢底石を置いてください。

レモンは乾燥気味の土で育つので、土は撥水性の良いものを用意しましょう。市販されているかんきつ用の培養土を使うのが簡単ですが、自分で配合する場合は赤玉土6:腐葉土3:砂1程度の割合で土を作ると良いです。

植え付ける時は、土を入れた植木鉢の中心にレモンの木の苗を置きます。その後、土を加えて苗が倒れないようにしっかりと固定しましょう。植木鉢の下から水が流れるくらいにたっぷりと水やりをしたら、植え付けの完了です。

地植えの場合

レモンは暖かく、乾燥気味の場所で良く育つので、地植えの場合は、日当たりと水はけが良い場所を選びましょう。また、レモンの木が風にあおられて折れたり、実が取れたりしないように、強風が当たらない場所に植えるのもポイントです。

場所を選んだら、直径・深さが約50㎝の穴を掘ります。掘り上げた土5:腐葉土3:赤玉土2に化成肥料を混ぜて土づくりをしましょう。

レモンの木を地植えにする時はまず、作った土の半分程度を植え付け穴に入れます。次に、レモンの苗木の根鉢を崩して植え付け穴に置き、周りに残りの土を入れてください。接ぎ木苗を使う場合は、継いだ部分が土に埋まらないようにするのがポイントです。

苗の周りに土を入れたら、支柱を立てて固定します。レモンの木が育っている場合は高さが50㎝程度になるように切り詰めておくと良いでしょう。最後に、たっぷりと水やりをしてください。

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レモンの木のお手入れ

おいしいレモンを収穫したり、きれいな花を咲かせたりするためには日ごろのお手入れが大切です。レモンの木の管理方法を確認していきましょう。

水やり

レモンは加湿を嫌います。水をあげすぎると、病気にかかったり、病害虫の被害を受けるため、加湿には注意が必要です。ただし、乾燥は望ましくありません。乾燥しすぎると、葉っぱが落ちて実付きが悪くなるので、適度に水を与えましょう。

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。気温の高い夏は乾燥しやすいので、一日2回水やりをすると良いでしょう。レモンの生育が落ち着く冬は1週間に1回から2回が目安です。

地植えの場合は、植え付けから1年以内は鉢植えと同じように1日から3日に1回程度水やりを行いましょう。根が活着した2年目以降は基本的に水やりの必要はありません。しかし、晴天が続いた場合は根元にたっぷりと水を与えて乾燥を防ぎましょう。

追肥

レモンを育てるためにはたくさんの肥料が必要です。1年を通して肥料不足にならないように、一年に4回程度肥料を与えましょう。2~3月、6月、9月、11月に緩効性の化成肥料を株本にパラパラと撒いてください。

なお、定期的に肥料を与えていてもレモンの生育が盛んな春から夏にかけては肥料が不足することがあります。樹勢が弱くなった場合は、即効性の液肥を適量の水で薄めて株全体にかけましょう。

1週間に1回のペースで液肥を与えていると、約1か月で樹勢が回復し、レモンが元気になります。

剪定

2~3月頃になったら、レモンの木を剪定します。剪定で不要な枝を切れば、見た目が良くなるだけでなく、風通しが良くなって病害虫を予防できたり、生長を促したりする効果を期待できるでしょう。

レモンの剪定は株の大きさに合わせて行います。1~3年の木は病害虫の被害を受けた枝や元気がない枝などを切って株の中心の風通しを良くしてください。植え付けから2年程度経ったレモンの木には新しく枝が出ますが、残すのは2~3本にするのがおすすめです。

木が半円型に整ってきたら、込んだ場所を中心に剪定すると良いでしょう。

摘蕾・摘果

レモンはたくさんの花を付けますが、すべてを咲かせて実を付けると、一つひとつに栄養が行き渡らず、生長が止まったり、収穫までに落ちてしまったりします。高品質のレモンを収穫するためにも、つぼみや実の数は適度に制限すると良いでしょう。

生長させる実の数は木の大きさやレモンの種類によっても違いますが、3年の苗木の場合で5つ程度に収めるのが無難です。1~2年のレモンの木は十分に株が育っていないので、実を付けないのが良いとされていますが、どうしても味見をしたいなら1果だけ育ててください。

受粉

レモンは自家受粉の植物なので、人工授粉は必要ありません。花が咲いたら、自然に実ができるのを待ちましょう。「本当に実がなるのか不安」という場合は、綿棒や化粧用の筆などで優しく受粉させてください。

収穫

レモンの木が春に花を咲かせれば、約半年後の11月頃に収穫時期を迎えます。ゴワゴワとした皮がなめらかになってきたら、へたの部分を園芸用ハサミなどで切って収穫してください。

レモンの木には棘があるので、収穫の時は怪我をしないように軍手などをはめておきましょう。収穫期は3月頃まで続きますが、熟しすぎると酸味がなくなって味が落ちるので、できるだけ年内に収穫を終えておくと安心です。

なお、青い状態で収穫したレモンは室内に置いて追熟させると、美味しくなります。

寒さや虫の対策は?

レモンは寒さや害虫の被害を受けます。せっかく育てたレモンが枯れてしまわないように、適切な方法で対策しましょう。

防寒対策

インドが原産のレモンは寒さに弱いです。寒さに当たると葉が落ちて実が付きにくくなるので、適切な方法で越冬させましょう。

レモンを地植えしている場合は、木に園芸用の不織布や寒冷紗を二重に巻いてください。鉢植えで育てている場合は、日中は暖かいところで管理し、夜間は室内に入れると良いでしょう。レモンの防寒対策が必要な時期は地域によって違いますが、関東以西の一般地では、12月から3月頃まで寒さに気をつけてください。

害虫対策

レモンを育てるなら、害虫対策も必要です。レモンに寄ってくる害虫でも特に、深刻な被害をもたらす害虫の対処法を確認しておきましょう。

アゲハチョウ

アゲハチョウの幼虫は葉を食害するため、放っておくと、レモンの実が付きにくくなります。そのため、発見したら、有効な薬剤を散布するか手で捕まえて木から離してください。アゲハチョウは1㎜程度の黄色い卵を産むので、レモンの木に卵を見つけたら潰しておくのも大切です。

カイガラムシ

レモンの木を吸汁するカイガラムシの被害も深刻です。吸汁されると、生育が悪くなり、枯れてしまうことがあるため、対策に力を入れましょう。発見したら、早めに薬剤を使い、増殖を防ぐのがポイントです。カイガラムシは国内で約400種類も確認されていてそれぞれ見た目が違いますが、特に白くてふわふわとしたカイガラムシは手で取りにくいので、注意しましょう。

ハダニ

葉に細かい点々が表れた場合は、ハダニが付いていると考えられます。ハダニが付くと、生育が悪くなったり、葉の色が変わって見た目が悪くなったりすることが多いです。ハダニは乾燥した場所に発生するため、被害に遭ったら、水を多めに与えると良いでしょう。葉全体に水をかけるのも効果的です。

カイヨウ病にも注意!

レモンの木はカイヨウ病という病気にかかってしまうこともあります。カイヨウ病は風で葉や実が擦れた時にできた傷口から感染する病気で、発生すると葉や実に斑点ができて、自然に落下していきます。カイヨウ病の症状が表れたら、風からレモンの木を守り、殺菌剤などを散布してください。

まとめ

レモンの木は園芸初心者でも意外と簡単に育てられます。狭いスペースでも鉢植えで栽培できるので、自宅でレモンを作ってみてはいかがでしょうか。自分で育てたレモンを使うと、料理やお菓子などが一層美味しくなるでしょう。

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