花をつけず実を作るという無花果の名前で知られるいちじくは、アラビア原産の果実でアダムとイブの話に出てくるなど、古くから広く知られています。日本では江戸初期に薬用として伝わり、果実としても広く楽しまれるようになりました。美容や健康に効果のあるいちじくの、嬉しい効果について、詳しくご紹介します。
いちじくとは?
いちじくはアラビア半島が起源とされ、およそ6000年前には栽培が行われていたと考えられています。古代エジプトの壁画に描かれ、旧約聖書にも登場するなど、古くから多くの人々に知られ、伝えられてきました。日本にいちじくが伝わったのは江戸時代で、はじめは薬用として広まりましたが、次第に食用としても栽培されるようになりました。
いちじくは花が咲くことがないまま実がなるとされ、無花果の字があてられました。ですが実際は私たちの目に花の形が見えないためにそう言われるだけで、ちゃんと花を咲かせます。私たちがいちじくの実として食べているあの実の中にある赤いつぶつぶの部分が花なのです。あの独特の食感が花によるもので、花を包んだ実の状態で木になっているのです。いちじくの名前の由来は、一月で実が熟す、また1日に一つずつ熟すという説などがあります。
いちじくの栄養と効果
いちじくには豊富な食物繊維のほか、ミネラルも豊富で、特に女性の体に嬉しい効能のある栄養分が豊富に含まれています。
1.食物繊維のペクチンで便秘を解消
いちじくに含まれる食物繊維は、水溶性の食物繊維で、腸をきれいにして腸内環境を整える働きのほか、血液中のコレステロールを下げる作用があります。また胃の壁に付着し、糖分や脂質が吸収される働きを抑制し、血糖値の上昇を抑えます。
2.カリウムでむくみを改善
いちじくにはミネラルの一つであるカリウムが含まれています。カリウムは体内のナトリウムを減らす働きがあり、細胞のナトリウムのバランスを整えます。血圧の上昇を抑え、老廃物の排出を助ける働きがあるので、むくみやすい体を改善します。さらにカリウムを摂取することで、だるさや疲労から体が回復するための働きを助けます。
3.鉄分が貧血を予防
いちじくにはカルシウムや鉄分が多く含まれています。骨粗鬆症の予防や、貧血の改善のために、いちじくの栄養分は大いに活躍します。
4.植物性エストロゲンでホルモンバランスを改善
いちじくには、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きの植物性エストロゲンが種子の部分に含まれています。エストロゲンは加齢によりその分泌が減少し、閉経によりその分泌がほとんどなくなってしまいます。そのため、更年期障害が現われたり、肌荒れや肥満の原因となります。
またホルモンバランスが乱れることで、生理痛がひどくなったり、生理前のイライラなどPMS(生理前症候群)の症状が出ることにもなります。植物性エストロゲンを摂取することで、このバランスを整え、症状を緩和します。
5.ポリフェノールで肌をきれいに
いちじくにはポリフェノール類である酵素が多く含まれており、この抗酸化作用により、活性酸素を除去し、肌の老化を防ぎます。
いちじくの食べ方と注意点
いちじくは傷みやすい果物であるため、購入したらなるべく早く食べるようにしましょう。その食べ方について、詳しくご紹介します。
いちじくの食べ方
実に裂け目ができ、中の花が見えるようになったぐらいが食べ頃ですが、先の方をむくよりも、じくの付け根からむくとむきやすくなります。またピューレやジャムにする場合、固めの実を使うときには、湯むきをします。沸騰した湯にくぐらせ、氷水に入れてからむくときれいに皮がむけます。
ゼラチンを使うときには加熱する
いちじくには酵素が多く含まれているため、生のままではゼリーやムースが固まりません。必ずいちじくを加熱処理してから使うようにしましょう。
いちじくをむくときには手袋を
いちじくに含まれているたんぱく質分解酵素が肌に刺激となり、かゆみなどを引き起こすことがあるので手袋をして皮をむくようにしましょう。
食べ過ぎに注意
いちじくには100gあたり54kcalあり、糖質が多く含まれるため食べ過ぎには注意が必要です。特に食物繊維が多く含まれている分、過剰に食べるとかえって腸の働きを低下させてしまいます。また未熟な実も胃を刺激させ、痛めることがあるので、完熟した実を食べるようにしましょう。
いちじくのアレルギーに注意
果物アレルギーのひとつに、いちじくアレルギーがあります。いちじくにさわったり、食べたときにすぐ症状が出るのが特徴です。じんましんや口の中や口のまわりのかゆみ、しびれ、嘔吐といった症状が出た場合は、食べるのをやめ、病院で診察を受けましょう。ほかのアレルギーがある場合は、発症する可能性が高いため、注意が必要です。
いちじくはドライフルーツの方が栄養価が高い?
生のいちじくよりも、乾燥させたドライフルーツは、栄養素が凝縮されます。食物繊維やミネラル、ポリフェノールや植物性エストロゲンは含有量が増加するので、おやつ代わりにドライフルーツのいちじくを食べるのもおすすめです。ただしカロリーもその分高くなりますので、適量を決めて守りましょう。生のいちじくは1日2個から3個が摂取の目安ですが、ドライフルーツの場合は1日5個から6個程度にしておきましょう。
料理やデザートなど、幅広く使われておなじみのいちじくですが、特に女性には嬉しい効能が多くあります。しかし食べ過ぎるとかえって健康を損ねることになりかねませんので、適量を守って美味しく食べるようにしましょう。