冬になると美味しい干し柿。田舎の祖母の家で、おなじみのおやつとして育った人も多いでしょう。保存食でもある干し柿には、実はたくさんの栄養が詰まっています。実は簡単に家で作ることができる干し柿、その栄養と作り方を詳しくご紹介します。
干し柿の栄養と効果
渋柿から渋みを抜くために考え出された干し柿は、日本独特のドライフルーツです。水分を抜くため保存食にもなります。さらに生の状態よりも、干した柿には栄養素が凝縮されています。
便秘の解消に力を発揮するペクチン
干し柿特有のねっとりとした食感は、水溶性の食物繊維であるペクチンによるものです。食物繊維は腸の働きを活性化し、整腸作用があるだけでなく、老廃物を絡め取って排出します。また、血液の中のコレステロールを吸収する働きもあり、動脈硬化の予防にも役立ちます。
βカロテンの抗酸化作用で皮膚や粘膜を健康に保つ
柿の黄色はβカロテンによるもの。色素の一つであるβカロテンは、抗酸化作用が強く、体内で必要な分のみビタミンAへと変化します。ビタミンAは、ほかのビタミンの働きを助ける働きをします。またβカロテンには体内の活性酸素を除去し、アンチエイジング効果や生活習慣予防にも関わります。さらに免疫の機能を高め、皮膚・粘膜の健康を維持するためにも働く栄養素です。
カリウムで体の余分な水分を排出
干し柿にすることで、柿に含まれるミネラル成分が凝縮されますが、なかでもカリウムは群を抜いて増加します。カリウムは体内のナトリウム濃度を調整する働きがあり、老廃物の排出にも関わります。ナトリウムが増加すると体に水分が保持されてしまいますが、このバランスを調整することでむくみを改善します。
鉄やマンガンが貧血防止に
柿に含まれる鉄分やマンガンも、干すことでその含有量が増えます。女性には特に不足しがちな鉄分やマンガンは、貧血の予防に大きく働きます。さらに造血作用のある葉酸も干し柿にすることでその含有量が増えますので、女性の体にとって、必要な栄養素が干し柿には詰まっているといえます。
干し柿についた白い粉にも薬効あり
干し柿の表面につく白い粉は、カビではなく「柿霜」(しそう)といい、柿の中の糖分が表面に出てきたものです。咳止めやのどの痛みの改善、口内炎などの炎症を抑える効果があります。この白い粉が多くついているものほどよくできた干し柿なので、出来上がりの目安にもなります。
干し柿の作り方
市販のものも多くある干し柿ですが、実は家庭でも簡単に作ることができることをご存じでしょうか。たくさんの柿をいただいたときにはもちろん、干し柿にすることで長く柿を楽しめますのでぜひチャレンジしてみましょう。
干し柿を作るタイミング
干し柿はカビが生えてしまうと失敗してしまいます。そのため、カビを生やさない環境で作る必要があります。気温が低く、空気が乾燥している時期、そして雨が降ることの少ない安定した時期を選びましょう。おすすめは11月上旬から中旬あたりです。
干し柿を作る手順
準備するものは、渋柿と雑誌を縛るときなどに使うビニールの荷造りひもだけです。あとで柿を殺菌するので、大きめの鍋を用意しておきましょう。
1.へたの部分をむき、上から下へ皮をむいていきます。ひもでつるすので、柿のへたの枝の部分はひもで縛りやすいようT字に残します。柿の先の部分は2cmほど残します。滑り止めと、変色予防に手袋をします。
2.一本50cmから60cmほどに切り、両側に柿を縛ります。枝が取れた場合、またない場合は、串を実に通し縛ります。
3.カビ予防のために、沸騰したお湯に10秒ほどつけ、水気をしっかり拭き取ります。
4.柿同士がふれあわないよう軒下につるします。出来上がる頃に鳥に狙われやすいので、防虫ネットなどを張っておくと安心です。
5.1週間ほどたって、一度さわってみます。弾力があり、水分が出なければ軽く表面をもみます。こうすることで渋みのタンニンが抜けます。
6.天気などにもよりますが、10日から2週間程度で出来上がりです。好みもありますので、試しに食べてみて、大丈夫なら取り込みます。水分を完全に抜きたい場合は、40日ぐらい干すようにします。
干し柿の保存方法
そのままカビが生えないよう気をつけて保存してもいいのですが、美味しさをそのままに保存するなら、冷凍保存がおすすめです。一つずつ空気が入らないようにラップに包み、ファスナー付き袋にいれて、冷凍庫にいれましょう。冷蔵庫でも保存できますが、水気が出てくることがあるので、冷凍する方がおすすめです。2ヶ月ほど保存が可能です。
硬くなってしまった干し柿を食べるには?
すぐに食べようと出しておいたら、硬くなってしまった、そんなときに軟らかくする方法をご紹介します。
焼いて軟らかくする
アルミホイルで包み、トースターやオーブンで少し加熱します。
天ぷらにする
衣を薄くして、天ぷらにすると軟らかくなります。
刻んでなますにする
人参、大根を薄く切り、昆布だし、酢と砂糖、塩を混ぜた酢と混ぜ、ここに刻んだ干し柿を混ぜます。甘酸っぱい柿なますができます。
お酒に浸して軟らかくする
お酒に浸して1日か2日置いておくと軟らかくなります。日本酒や焼酎がおすすめですが、ワインやブランデーなど洋酒でもできます。甘いおつまみになります。
干し柿は1個で生の柿4つ分のカロリーになります。ついつい手が伸びてしまいがちですが、食べ過ぎには十分注意して楽しむようにしましょう。