食用や化粧品に、幅広く使われ私たちの生活にもなじみの深いアロエ。その種類は多く、どのアロエがどのように使われているのか、よく知らないということもあるはず。今回は万能薬ともいわれるアロエの有効成分や、その効能について詳しくご紹介します。
「アロエ」とは?
アロエとはアフリカが原産の多肉植物で、冬が寒い日本ではあまり育たないため、温暖な地域で多く作られていますが、日本の気候に合った種類のアロエもあります。その種類は園芸用のものを含めると300から500種類近くあるともされています。日本では以下の3つのアロエが広く知られています。
ケープアロエ
医薬品として使われるアロエは、このケープアロエを使ったものです。南アフリカを中心に栽培されており、大きく成長し、高さが6mほどまでになります。苦みが強く、その薬効成分もほかのアロエの種類よりも強いのが特徴です。
キダチアロエ
日本でよく見ることの多いアロエで、寒い地域でも栽培ができることからおなじみの品種です。医者いらずとも呼ばれ、民間療法によく使われています。キダチアロエは医薬品に使うことができませんが、化粧品や食品に多く使われています。
アロエベラ
寒い地域では生育できないため、温暖な地域で栽培されていますが、研究が進んで日本でも栽培されることが増えてきたアロエです。キダチアロエよりも肉厚で、ゲル部分が多いのが特徴です。
アロエの有効成分とその働き
アロエには独自の成分が含まれており、その成分が健康や美容にさまざまな効果をもたらします。
1.アロイン
アロエの苦みは、アロインと呼ばれる成分で、胃の粘膜を刺激して消化酵素の分泌を促します。胃の働きを促進し、食欲を増進させるほか、腸を刺激するので便秘の解消にも効果があります。さらに炎症を抑える効果があるため、胃炎などにも効果があります。
2.アロミチン
毒素を分解し、免疫力を高める効能があります。がん細胞の活動を抑制する効果もあることが研究で明らかになっています。
3.ムコ多糖類
保水力を持つムコ多糖類は、アロエの果肉に多く含まれています。人間の細胞の周りにあり、必要な水分を保つ働きに関わっています。
4.アロエチン
キダチアロエに含まれる成分で、カビや細菌を死滅させる働きのほか、アセトアルデヒドを分解する働きがあるので、二日酔い解消に役立ちます。
5.アロエウルシン
キダチアロエに含まれ、組織を再生する働きを促進するほか、やけどや虫刺され、傷などに効果的です。
6.サポニン
アロエベラに含まれ、抗菌作用や抗炎症作用に加え、抗アレルギーにも効果があります。
このほか、アロエにはアミノ酸やビタミン、ミネラルも含まれています。
アロエの万能な効果~体・肌~
アロエを使った際の具体的な効果について、詳しくご紹介します。
アロエの体への効果
胃や腸の働きを促進する
胃液の分泌を増やし、消化を助ける効果と整腸作用により便通をよくします。このため、便秘や下痢などを改善する効果もあります。
免疫力を高める
殺菌や解毒によって、体内の有毒な物質を排出し、免疫力を高め、臓器を丈夫にします。
細胞の生成を助ける
細胞の生成の働きを助け、傷口の回復を早めます。
発毛を促進する
血行をよくし、細胞の生成に働きかけることで、発毛を促し、抜け毛を減らします。
アロエの肌への効果
保湿効果
肌の水分を逃がさないようにしてくれるので、保湿力を高めます。
消炎や治癒の効果
日焼けなどによる肌の炎症を抑え、傷んだ肌の再生に働きかけて回復します。
血行を促進する効果
血液の流れをスムーズにし、細胞を活性化します。
抗菌の効果
肌を細菌から守るほか、有毒な物質を排除して内側と外側から守ります。
このほか紫外線から肌を守り、収れん効果で肌の回復を早めるなど、アロエには肌を健康に保つ効果があります。
アロエを活用する際の注意
さまざまな効果のあるアロエですが、使用する際には注意が必要です。
利用する際には十分に水洗いする
アロエは乾燥させたものや粉末のものでも十分な効果があるため、生のものを使用する際には注意が必要です。特に家庭で栽培しているものの場合、空気中のさまざまなものに触れていますので、十分に洗ってとげを取り除きましょう。
表皮の部分は取り除く
アロエの表皮部分に多くの成分が含まれていますが、アロエをあまり摂取することがない場合、表皮は取り除いた状態で使うことをおすすめします。大量に摂取すると、女性の場合は子宮が充血することがあります。妊娠中や生理中には服用しない方がいいでしょう。
カリウムの摂取に注意する
アロエの葉には100g中100mgのカリウムが含まれます。通常は余剰となったカリウムは体外に排出されますが、腎臓機能に問題がある場合、高カリウム血症を引き起こす可能性も。ほかの食材でカリウムを摂取することも考えて、使用量には十分に注意しましょう。
外用で使うときにはパッチテストをする
アロエに含まれるシュウ酸によって、ピリピリ、もしくはチクチクした痛みを感じることがあります。また赤くなることもありますので、使う前には二の腕の内側にアロエの汁を塗って、1日様子を見てみましょう。
食べるときも塗るときも最初は上澄みから
アロエは少量でも反応が大きいため、最初の内は汁を絞った上澄みから使うようにし、問題がなければ絞ったもの、さらにアロエの果肉そのものを使うようにしていきましょう。特に皮の部分は効果も強いので、しばらくは皮をとったものを使うのがおすすめです。
さまざまな体に効果をもたらすアロエですが、自分で加工されていないものを使う場合は注意が必要です。市販品でも自分に合うものかどうか、試してみてから使うようにしてくださいね。