香辛料としておなじみの唐辛子。その実は江戸時代から観賞用としても楽しまれ、赤だけでなく黄色や緑と様々な色があります。
原産地は熱帯地方の中央アメリカや南アメリカですが、香辛料として世界中で作られていますね。比較的栽培が簡単にできることから、園芸用としても人気の高い唐辛子を家庭で育てる方法をご紹介します。
「唐辛子」の基礎知識
唐辛子はナス科トウガラシ属で、英語ではチリペッパーと呼ばれます。
中南米が原産で、草木になる実のことをいいます。香辛料の材料にもなるため、辛いものというイメージがありますが、ピーマンやししとう、パプリカなど辛くないものも同じ仲間です。
私たちにおなじみの日本の唐辛子には、鷹の爪、青唐辛子、弥平とうがらし、ほどからなんばんなどがあります。
しかし最近では、ハバネロやプリッキーヌ、アヒ・リモ、ハラペーニョといった、海外の唐辛子も国内で栽培されるようになっています。
唐辛子はなんといってもその辛さ成分が特徴です。この辛さの成分はカプサイシンによるもので、食べると内臓感覚神経に働きかけ、アドレナリンの分泌を活発にしてくれます。
そのため体が燃えるような感じがし、発汗などが促されるのです。このカプサイシンの刺激は胃腸を刺激して消化を促進するほか、食欲増進の働きもあります。
さらに唐辛子は風邪や疲労回復、肌荒れに効果のあるビタミンC、抗酸化作用のあるビタミンE、免疫力をあげるβカロテンもたくさん含んでいるのです。
ちなみに、観賞用の唐辛子は食用の品種とはまた違う品種です。
唐辛子に適した土づくり・種まき・植え付け
唐辛子の栽培には、水はけが良く栄養となる有機物がしっかり含まれた土を用意します。赤玉土と腐葉土を用意し、6:4の割合で混ぜ、さらに堆肥を混ぜます。
畑や庭に植える場合は、以前にナス科の植物を育てた土を使わないこと、また植え付ける前に石灰を混ぜ、酸性を中和しておくことがポイントです。これは、唐辛子の栽培期間は長いため、栄養不足の土では育たなくなるためです。
唐辛子は種と苗がありますが、種から育てる場合は時間がかかります。発芽に必要な温度が22℃以上であること、また発芽までには2ヶ月から3ヶ月ほどかかるためです。
種から育てる場合には室内で管理し、育苗箱を用意して赤玉土を敷きます。種をすじ蒔きにして、ポリ袋をかぶせて保温します。
土が乾かないよう水やりをし、発芽したら育苗ポットに植え替え、花が咲いたら苗植えをします。植え付けは4月から6月の間ですが、苗を購入しそのまま植える場合は5月頃でも大丈夫です。
気温が低いと育たないので注意が必要になります。日当たりが良く、日光がたっぷり当たる場所で育てるようにしましょう。
また植え付けた後、支柱を立てて茎を誘引し、株を支えるようにします。
畑や庭に植え付けた場合は、追肥をします。鉢植えなどにした場合は、10日に一度ほど液体肥料を与えます。
唐辛子は根を浅く張るため、乾燥しやすくなります。水やりはしっかりするようにしましょう。
収穫までのお手入れ方法
剪定
唐辛子は最初の花のつぼみがついた頃に、脇芽かきといわれる剪定をおこないます。これは、葉のつけ根に出てくる脇芽を摘み取ることです。一番上にある2つ以外はすべて摘み取りましょう。こうすることで、花がたくさん咲くため、実が多くなります。
また株と株の間が狭いと、日光がまんべんなく当たらなくなるため、病気になる場合があります。風通しを良くして、害虫を予防することも大切でしょう。
虫予防
暖かい時期に栽培するため、アブラムシがつきやすいので注意する必要があります。アブラムシを予防するには、シルバー色のマルチシートを周りに敷く、またまんべんなく日光が当たるように工夫することが必要です。
ついてしまった場合は、爪楊枝やガムテープなどを使い取り除くか、野菜用の殺虫剤を噴霧します。
そして、葉に寄生するハダニにも注意しましょう。ハダニは水を嫌うので、葉の表と裏に定期的に霧吹きで水を掛けるようにします。発生した場合は、薬剤で駆除してください。
唐辛子の収穫時期や保存方法は?
唐辛子は1年草なので実をつけると枯れてしまいます。ただし実がすべて熟すまで待つのではなく、未熟な青唐辛子を先に収穫し、残りが赤くなるまで待つようにすれば、比較的長く収穫を楽しむことが可能です。
種類別の収穫時期について
青唐辛子の場合は花が咲いてから、20日から30日ほど経った頃が収穫時期となります。長さが4〜5センチほどになったら収穫します。
赤唐辛子の場合は、花が咲いてから50日から60日ほど経った頃が収穫時期です。実を一つずつ取ってもかまいませんし、すべて赤くなった株を根から抜いてもいいでしょう。株ごと抜いて、軒下にそのまま吊して乾燥させます。葉唐辛子は実がまだ青く4〜5センチぐらいになったところで株ごと抜き、葉を摘み取って調理します。
保存方法
唐辛子は乾燥させると長く保存ができます。株ごと抜いた場合はそのまま吊して乾燥させ、実だけを摘み取った場合は風通しの良い日を選び自然乾燥しておきましょう。振って種の音が聞こえれば完成です。
生唐辛子の場合は冷蔵庫で1週間、冷凍保存なら1年は保存可能ですが、時間が経つと風味が落ちますので、生で調理するなら早めに使いましょう。
唐辛子で作るオリジナル七味をご紹介!
唐辛子といえば七味唐辛子。ぜひ手作りにチャレンジしてみましょう。
材料は乾燥させた赤唐辛子、天日に干したみかんの皮、天日に干した青じそ、ケシの実、朝の実、粉山椒、白胡麻、黒胡麻、青のり、菜種、生姜など。
赤唐辛子は種を取り除いてから、みかんの皮と青じそはそれぞれフードプロセッサで粉末にします。全部の材料を混ぜて出来上がりです。
分量は同量でもかまいませんし、辛いのが好きなら唐辛子を多めに、そうでなければみかんの皮を増やしてもかまいません。材料も全部揃える必要はありませんのでので、色々と試してみてくださいね。