今人気のアロマ「ティーツリー」。アロマには詳しくなくても名前は聞いたことがある方も多いと思います。
ティーツリーはただ香りが良いだけでなく、海外では家庭の救急箱の中に常備されているほどの様々な優れた薬効があるんです。
今回は、そんなティーツリーの優れた効果や、その効果を得るためにおすすめの5つの使い方と6つの注意点などついて詳しく解説します。
「ティーツリー」とは?
ティーツリーとは、オーストラリアの亜熱帯地域やニュージーランド、インドネシアなどに分布している高さ約8m程度の低木で、春には5cm程度の白い花を咲かせます。
その針のように細い葉から抽出されるものがティーツリーの精油で、オーストラリアの原住民であるアボリジニは何千年も前から感染症や寄生虫の予防、キズ薬として利用したりお茶にしていたんです。そう、だから「Tea Tree」なんですね。
ティーツリーには非常に優れた殺菌効果・抗ウイルス効果があり、第二次世界大戦中にオーストラリア軍の常備薬として採用され、現在でも各家庭の救急箱が定位置です。さらに、医療機関でも消毒剤として使用されているところもあるなど、その効果には高い信頼が置かれています。
ティーツリーの優れた効果
ティーツリーの殺菌効果は、医療機関でも消毒液として使用されることがあるほど強力で、しかも副作用がありません。
一方、抗ウイルス効果はウイルスを死滅させるほどのものではなく、体内で増殖するのを抑えて感染を防ぐ程度であることがわかっています。しかし、風邪やインフルエンザ、食中毒でも、ウイルスはいかに増殖や感染を防ぐかということが重要ですので、ティーツリーの効果は絶大と言って良いでしょう。
そんな菌とウイルスに対して幅広く対応できるティーツリーですが、具体的にどのような場面でその優れた効果を発揮するのか、代表的なものを5つご紹介します。
1.アトピーやニキビの改善
ティーツリーは、抗炎症作用や免疫を高める効果も持っています。また、肌への刺激も少ないので、免疫力の低下によって引き起こされるアトピーや、肌の炎症であるニキビに効果があります。アトピーの場合、つい掻きむしって肌に傷ができることも少なくないので、
キズ薬としても利用されてきたティーツリーは一石二鳥です。
ボディ用や顔用のオイルに数的のティーツリーオイル(精油)を混ぜて患部に塗ったり、ニキビなら綿棒などにとってチョンチョンと塗ると良いでしょう。
2.イボや粉瘤(ふんりゅう)の改善
加齢によりできるイボやウイルス性のイボ、老廃物が皮膚の下に蓄積されることで起こり、ときに炎症を引き起こす粉瘤(ふんりゅう)にも、ティーツリーが効果的です。
ニキビ対策と同じように、ティーツリーオイルの原液を綿棒にとって毎日朝晩の2回患部に塗ると、徐々に改善していきます。
3.アタマジラミ予防
幼稚園や保育園で発生して大流行してしまうことのあるアタマジラミ。髪の毛の付け根に寄生して、服や帽子、頭を拭いたタオルを経由し、どんどん感染が広がってしまう厄介な寄生虫ですよね。
でも、数的のティーツリーオイルをシャンプーに混ぜたり、水で薄めたティーツリーオイルを帽子などアタマジラミがつきやすいものにスプレーすれば、アタマジラミへの感染を予防することができます。
4.水虫の改善
水虫は白癬菌(はくせんきん)という真菌(カビ)の一種です。ティーツリーの抗菌作用は、この真菌にも効果があることがわかっており、クロトリマゾール溶液と同程度の効果が確認されたという研究結果もあるほどです。
使用方法は、普段使用しているボディ用オイルや化粧水にティーツリーオイルを数的混ぜたものを毎日1日3〜4回患部に塗るだけです。ティーツリーの濃度は水虫の重度によりますが、最初は数的からはじめて様子を見ると良いでしょう。
5.カンジダの改善
女性に多くストレスなどにより自己感染してしまうカンジダ症ですが、水虫同様カンジダの正体も真菌なので、ティーツリーが効果を発揮してくれます。
お湯を張った洗面器にティーツリーオイルを数的混ぜて、15〜20分お尻を浸けておくか、精製水1カップにティーツリーオイルを4〜5滴混ぜて、お風呂上がりなどに患部にスプレーするのも効果的です。ただし、粘膜は非常に敏感ですので、やたらとティーツリー濃度を上げたり、必要以上に使用するのはやめておきましょう。
ティーツリーの使い方
ティーツリーが効果を発揮する場面や、それぞれに対応した簡単な使い方をご紹介しましたが、ここでは日常生活に取り入れやすい5つの使い方をご紹介します。普段の生活にティーツリーを取り入れて、様々な病気や症状を予防していきましょう。
1.アロマポットやディフューザーを使用する
ティーツリーのアロマには、ストレスを軽減して自信を持たせ、ポジティブな気持ちにしてくれる効果があります。
さすがに部屋中の空気を殺菌することはできませんが、アロマポットやディフューザーでティーツリーオイルを噴霧すると、部屋の加湿ができると同時にフレッシュで清涼感のある香りが部屋に広がり、森林浴を楽しんでいるようなリラックス効果を得ることができます。
加湿は風邪対策にも効果的ですし、心身に良い影響を与えてくれるでしょう。
気分が落ち込んでいるとき、咳や鼻に風邪の症状が現れている場合は、浴槽にティーツリーオイルを数滴混ぜると、蒸気をたっぷり吸い込めます。
2.うがい薬として
風邪やインフルエンザの予防には、ティーツリーオイルを使ったうがいがおすすめですよ。コップ半分程度(100ml)の水かぬるま湯に、ティーツリーオイルを2滴たらしてうがいしましょう。天然の植物性オイルですので、そのあと改めて水ですすぐ必要はありません。
3.直接肌に塗る
ティーツリーオイルは刺激が少なく、直接肌に付けても問題がないとされています。
ニキビや水虫、イボ、そしてキズや虫刺され、火傷には原液のまま、アトピーや肌荒れなど面積が広い部分にはボディオイルやホホバオイルなどに1〜2滴混ぜて使用します。ティーツリーは筋肉痛や関節痛にも効果がありますので、オイルに混ぜたものでマッサージするのも効果的です。
4.シャンプーに混ぜる
ティーツリーオイルを混ぜたシャンプーでの洗髪は、アタマジラミの予防だけでなく頭皮のかゆみや炎症、フケにも効果的です。
手のひらにとったシャンプーに1〜2滴混ぜれば十分ですので、小分けにしたボトルを浴室に常備して置くと便利でしょう。シャンプーをするだけで浴室内にティーツリーの香りが広がりますし、ついでに浴槽にオイルを数滴落としても良いですね。
5.歯磨きや歯磨き後のリンスとして使う
歯ブラシに歯磨き粉をつけた後ティーツリーオイルを1滴垂らして歯磨きをしたり、うがい同様にティーツリーオイルを水で薄めたものを歯磨き後のリンス代わりに使用することで、歯周病や歯肉炎、口内炎など、口内に起こった大小さまざまなトラブルを改善することができます。
ティーツリーオイルを使う時の6つの注意点
肌に直接塗ったり口の中に入れたりと、エッセンシャルオイルとは思えない使い方のできるティーツリーですが、使い方によっては危険を伴う恐れもあります。注意すべき6つの点をご紹介しますので、しっかり頭に入れておいてください。
1.必ずパッチテストを行う
いくらティーツリーは安全性が高いとはいっても、体質により合う・合わないがあるのはしかたのないことです。薄めたものや蒸気を吸うことでアレルギー反応が出る方もいらっしゃいますので、絶対にパッチテストを行い問題がないかどうかを確認してから使用するようにしてください。
2.原液のオイルを飲まない
「口に入れても問題ない」ということと「飲んでも問題ないかどうか」は別です。国立健康栄養研究所は、原液のティーツリーオイルを飲むと全身性皮膚炎や歩行困難、運動失調、錯乱、失見当識などさまざまな異常があらわれる恐れがあると警告しています。
歯磨きやうがいのときに飲み込んでしまった程度では問題ないとされていますが、原液では小さじ半分程度で異常が出ると言われていますので、小さなお子様やペットが誤って口に入れてしまわないよう十分ご注意ください。
3.肌の弱い方や体調の悪い方は原液での使用を避ける
肌の弱い方や、季節により肌のコンディションが落ちる方、体調の悪い方は、ティーツリーが刺激となって肌トラブルに繋がってしまう恐れがあります。原液ではなく薄めたものを使用するようにしましょう。
4.高濃度のものを耳に使わない
高い殺菌・抗炎症作用のあるティーツリーですので、外耳炎などの耳のトラブルにも効果があると思いそうですが、原液はもちろん、オイルなどで薄めたとしても濃度の高いものは耳に使ってはいけません。
耳の神経に悪影響を及ぼし、聴覚や平衡感覚に異常が現れる恐れがあります。
5.子どもには多用しない
ティーツリーオイルには、女性ホルモンに似たはたらきと男性ホルモンを抑えるはたらきがあります。
アメリカでは、ティーツリーオイルが含まれたボディソープやローションを使用していた思春期前の男の子に女性化乳房が引き起こされたという例がありました。同様に、女性ホルモンに依存する乳がんや卵巣がんへの影響も考えられます。
アタマジラミの予防として、薄めたものを一時的に使用する程度なら問題ありませんが、高濃度のものを使ったり、日常的に使い続けることは避けるようにしましょう。
また、誤飲の恐れもあるため、ティーツリーオイルは子供の手の届かない場所に保管するようにしてください。
6.ペットに使用しない
ティーツリーオイル中毒の恐れがあるため、ペットには絶対に使用しないでください。
特に小型犬や猫など体重の軽い動物ほど症状が重篤化する傾向があります。
香りが良いだけでなく、高い抗菌・抗ウイルス作用があることで、オーストラリアでは家庭の常備薬としても利用されているティーツリー。
肌に直接塗ったり、うがいや歯磨きに使っても安全という非常に珍しいエッセンシャルオイルですが、使い方を間違えると、身体に非常に重い悪影響が引き起こされてしまう恐れがあります。
注意点をしっかりと頭に入れた上で、安全に使用するようにしましょう。