森のバターとも呼ばれる「アボカド」。日本では「鰐梨」とも呼ばれているクスノキ科 ワニナシ属 常緑高木のアボカドは、中央アメリカ・メキシコが原産地です。アボカドに含まれている脂肪分は80%以上が不飽和脂肪酸のため、こってりしているわりにはコレステロールの心配がないというメリットがあります。一応フルーツに分類されていますが、おすしのタネとしてわさび醤油との相性も抜群ですし、サラダなどにもぴったりです。
アボカドを植える準備
アボカドの果実の中には大きな茶色の種が一つ入っていますが、この種は自宅で植えれば芽が出て立派な観葉植物になりますので、園芸が好きな人はぜひ一度挑戦してみるといいですね。育て方は思いのほか簡単なので、子どもと一緒にやってみるのも楽しいものです。
アボカドを買ってくる時は、なるべく冷蔵庫などに保存されていないものを選びます。実に包丁を入れ、ぐるりと刃を回して実と種を分けます。この時、多少種にキズが付いても発芽には影響しませんので、あまり神経質に考えなくてもかまいません。種を取り出したら、付着している果肉をきれいに拭き取ります。
果肉には発芽を抑制する成分が含まれているからです。油っぽさが気になるようであれば、ごく薄くした食器洗い洗剤で洗うと発芽が早いようです。薄皮も取って置くのがベターでしょう。尚、種は取り出した当日に蒔くようにしてください。放置しておくと乾燥してしまい、発芽しにくくなります。
上手な育て方
アボカドは酸性で水はけのいい土壌を好みます。子どもと観察しながらアボカドの成長を楽しみたいのであれば、地植えよりも鉢植えか水栽培がいいでしょう。
鉢植えの場合なら赤玉土(小粒)7/腐葉土3、または赤玉土(小粒)6/ピートモス3/川砂1を混ぜあわせたものか、市販の観葉植物用培養土を使用するのがおすすめです。
水栽培では、爪楊枝を種1個につき3~4本用意し、種に刺していきます。コップか切ったペットボトルに水を張り、容器の縁にアボカドの種に刺した爪楊枝を乗せるようにします。水は上まで満たさずに、種の半分くらいが水に浸かるようにしてください。種には上下がありますので、尖った方を上、平たい方を下にします。
水栽培では水を常に綺麗にしておかなければなりません。季節や種の状態にもよりますが、発芽までに1ヶ月以上、時によっては半年ほどかかることもありますので、「芽が出ない」といってすぐに捨ててしまわないようにしましょう。最初に種の下部が割れて根が出て、それから葉が開いてきますが、水栽培のままでも数枚の葉を付けるほどに成長します。丈が50センチ程になったら鉢に植え替えてあげるといいでしょう。
アボカドのお手入れ
アボカドは零下5℃ぐらいまではよく耐えますので、東京辺りなら路地栽培も可能です。地植えにする時は、移植する2週間ぐらい前に植える場所の土を掘り起しておき、腐葉土を3割ぐらい混ぜ込んでおくとよく育ちます。ただし地植えでは高さが20メートル以上の大木になることもありますので、庭にそんなスペースがない人は鉢植えでこぢんまりと育てた方がいいかもしれません。
この植物は茎の部分が細めなので、支柱をしておかないとバランスが崩れることがあります。あまりひょろ長くならないように摘芯を行い、側枝を増やすようにするのがコツです。アボカドは両性花ですが、1本だけだと受粉しにくいので、2種類以上を一緒に植えておくと実が生る可能性が高くなります。
また、アボカドは時間帯によって一つの花が雌花になったり雄花になったりするという特徴があります。若い木の場合だと雌花と雄花画同時に咲きませんので、受粉に慣れている人なら雄花を冷蔵庫に保存し、雌花が開いたら綿棒などで人工受粉させるという方法もあります。
アボカドは根が弱いので、根が詰まってきたら植え替えるのを忘れないようにしましょう。植え替えの目安は1~2年に一度、時期は5~6月が適しています。
いつ頃収穫できるか
アボカドの収穫時期は11月~3月で、結実年数は一般に接木苗で3~4年、実生で4~6年と言われていますが、中には1本だけ植えておいたものが植えてから10年以上経って実が生ったというかケースもありますので、気長に待つしかありません。花はたくさん咲いても結実に至る花は非常に少ないのが、この植物の特徴でもあります。
アボカドは世界中に3000種以上あると言われています。日本で最も多く市販されているのは「ハス」という種類ですが、この他にも果重が100gと小粒の「メキシコーラ」や世界的に流通している「フェルテ」、耐寒性について優れた「ベーコン」、果重が500gにもなる「ピンカートン」、そして育てやすい「ズタノ」などがあります。日本でもポピュラーなハスだけではなく、ベーコンやフェルテなども十分結実する可能性がありますが、鉢植のものでは大きさが限られてしまうので、なかなか実がならないようです。観葉植物が目的なのであれば鉢植え、実が生るのを期待しているのなら庭に植えることをおすすめします。