新鮮な野菜を食べたい人は家庭菜園に挑戦してみましょう。「野菜を作る土地がない」「素人には難しそう」と悩んでいる人もいるかもしれませんが、育てる野菜の種類を選べば、少ないスペースでもプランターで簡単に野菜を作れます。
ここでは、プランターで簡単に栽培できる野菜についてご紹介いたします。
まずは土作りから!
土づくりは野菜作りの基本です。土づくりを頑張れば、家庭菜園初心者でもおいしい野菜を作れます。反対に、野菜を育てるのに適した土を使わなければ、野菜が育たなかったり、病気にかかったりすることも珍しくありません。
まずは、野菜作りに適した土の作り方を確認しましょう。
pHを調整する
古い土を使う場合はまず、pHを測定します。pHとは酸性とアルカリ性の程度を示す数値です。適したpHの土を使わなければ、野菜が病気にかかりやすいので、測定器や試験紙を使って測定しましょう。
<野菜作りに適したpH>
・ミニトマト、ニンジン:6.0~7.0
・ナス:6.0~7.5
・枝豆、カブ:5.5~7.0
数値が高いほど、アルカリ性が強いです。酸性に近づけたい場合はビートモスなどを土に混ぜ込みましょう。反対に、土壌が酸性の場合は石灰を混ぜてください。なお、石灰などは野菜を傷める可能性があるため、pHの調整は野菜を植え付ける2週間前に済ませておくのがおすすめです。
有機肥料を混ぜ込む
野菜を植え付ける1週間前には、有機肥料を混ぜ込んで土をふかふかにしましょう。腐葉土や米ぬか、牛ふん堆肥などを土に入れると、ふかふかな土ができて野菜が育ちやすいです。また、有機肥料を混ぜ込んだ土で野菜を育てると、うまみが増すとも考えられています。
市販の培養土もおすすめ
使い古した土を再び使う場合は、pHの調整や有機肥料の混ぜ込みが必要です。これらの手間をかけたくない場合や土づくりに自信がない場合は、市販の培養土を使うのも良いでしょう。
ホームセンターなどで売られている多くの培養土はあらかじめpHが調整されていて、初期の生育に必要な肥料も混ぜ込まれているため、土づくりの必要がありません。
ただし、pHを調整されていない培養土や肥料が入っていない培養土も存在するので、購入時はすぐに使えるタイプかを確認するのがおすすめです。
それでは、ここからは、プランターで簡単に育てられる野菜についてご紹介します。
ミニトマト
ミニトマトは家庭菜園で人気の野菜の一つ。小学校などでも育てられていて、初心者でも失敗が少ないです。
基本情報
夏に育つナス科の野菜。初心者が種から育てるのは難しいので、慣れていない人は苗を購入するのがおすすめです。一般地では、ゴールデンウィーク頃に植え付けて、初夏の収穫を目指しましょう。
育て方
プランターに土を入れて、苗を植えます。朝にたっぷりと水やりをして、生育を促しましょう。風に当たると、苗が折れてしまう可能性があるので、根付いたら150~180㎝程度の支柱を立てて苗を誘引してください。
第一花房が咲き始め、緑のトマトができ始めたら、化成肥料を2~3週間に1回程度与えて、栄養不足を予防します。花房の下から脇芽が出たら、はさみなどで脇芽をかき、主枝に栄養を集中させましょう。
苗が伸びて支柱の上まで達した後は、摘心して苗の成長を止めると、トマトに栄養が行き渡っておいしくなります。
ミニトマトの収穫時期
実が真っ赤に色づいたら収穫しましょう。赤以外のミニトマトはヘタの先が上を向いたら、熟していると判断してください。房取りできる品種もありますが、一番おいしい時期に食べたいなら、こまめに収穫しましょう。
ナス
焼きナスや揚げナス、お漬物などさまざまな料理で活躍する野菜。収穫期間が長いので、プランターに植えておくと、長期間新鮮なナスを食べられます。
基本情報
トマトと同じように、夏に育つナス科の野菜。種から育てる場合は気温の低い冬から育苗しなければならないので、初心者は苗を購入するのがおすすめです。他の夏野菜と同様に一般地でゴールデンウィーク頃から植えられますが、6月ごろにスタートしても十分に生長します。
育て方
プランターに土を入れて、苗を植えつけます。植え付け後は、苗が折れてしまわないように、割り箸などで仮支柱を立て、根付いてからは150㎝程度の支柱を交差させるように立てて、枝を誘引します。
一般的な長ナスや丸ナスは朝にたっぷりと水やりをしましょう。水分が多い水ナスなどの品種を育てる場合は、乾燥を防ぐために夕方にも水やりをするのが良いでしょう。
一番果が付いたら、根を成長させるために早めに収穫します。プランターで育てる場合は一番果の真下の脇芽を育てて2本立てにするのがおすすめです。一番果の下から出る側枝以外の脇芽はかいて、風通しを良くすると、病気の予防に役立ちます。
7月下旬ごろに主枝と側枝を半分から3分の2程度剪定し、再び大きくなるまで育てれば、秋茄子の収穫を楽しめます。
ナスの収穫時期
品種によって収穫時期が違います。大きさが基準に達したら、はさみなどで切って収穫してください。早取りを心がけると、株が疲れないため、収穫期間を延ばせます。
枝豆
ビールなどのおつまみとして好かれている野菜です。収穫してすぐの枝豆は別格の味なので、家庭菜園で人気が高いです。
基本情報
夏に育てるマメ科の野菜。苗も売られていますが、初心者でも簡単に種から育てられます。4月からゴールデンウィーク頃にかけて種を植え、7月~8月の収穫を目指しましょう。
育て方
プランターに土を入れ、株間15㎝以上で一か所につき3~4粒の種をまきます。枝豆の種は鳥に食べられやすいので、半分に切ったペットボトルなどでカバーして守りましょう。発芽までは土が乾かないようこまめに、発芽後は朝にたっぷりと水やりをしてください。
本葉が数枚付いたら、2週間に1回程度追肥します。マメ科の野菜は自分で栄養分の窒素を作り出すため、他の野菜と比べて肥料の量を減らすことがポイントです。花が咲いたら、水切れを起こさないように注意します。株元がぐらつく場合は、土を寄せて倒れるのを防ぎましょう。
枝豆は初心者でも簡単に育てられますが、カメムシなどの害虫が発生しやすいです。害虫を予防したい場合は農薬を使うか防虫ネットでプランターを覆いましょう。防虫ネットで害虫対策するなら、つぼみが付く前から苗を覆っておくのがおすすめです。
枝豆の収穫時期
房を持った時に豆がはじけるくらいになったら収穫しましょう。収穫時期が遅れると、硬くなったり味が落ちたりするので、採り遅れには注意してください。なお、収穫後の枝豆はどんどんと味が落ちていくので、早めに茹でて食べるのがおすすめです。
ミニニンジン
ミニキャロットとも呼ばれています。品種によって長さは異なりますが、どれも一般的なニンジンと比べて短いため、深めのプランターで栽培できます。
基本情報
春と夏に植えられるセリ科の野菜。移植すると、苗が傷み、枯れてしまうリスクが高いので、直接プランターに種をまいて育てましょう。種まきの時期は一般地で3~5月と7~9月です。
育て方
プランターに土を入れ、深さ約1㎝のまき溝を作ります。まき溝に1㎝間隔で種をまき、軽く土をかぶせましょう。乾燥すると発芽率が大幅に下がるため、種まき後は新聞紙か不織布をかけて水の蒸発を防いでください。
土が乾かないように一日2回水やりし、発芽したら新聞紙や不織布を取り除きます。本場が2~3枚になったら2~3㎝間隔、5~6枚になったら10㎝間隔に間引きをして生育を促進します。
追肥は種まきの約50日後と2回目の間引きの後です。少量の化成肥料を土に混ぜ込み、株元に土を寄せておきましょう。肥料を与えすぎると、実が破裂してしまう可能性があるので、注意してください。
ミニキャロットの収穫時期
土から出た根の部分が親指くらいの太さになったら収穫しましょう。葉の下部分を持ち、上に引っ張って抜いてください。収穫が遅れると、裂果するので、大きく育てたいと欲張らないのが重要です。
小かぶ
プランターでも簡単に育てられる根菜です。お漬物やスープなどに使うとおいしいでしょう。
基本情報
春と秋に植えられるアブラナ科の野菜。栽培期間が短いので、初心者でも簡単に育てられます。根の部分だけでなく、葉の部分も食べられます。ミニキャロットと同じように移植を嫌うので、プランターに直播するのが基本です。
一般地では3月~6月か8月~9月に種をまくとスムーズに生長するでしょう。
育て方
プランターに土を入れ、10㎝間隔でまき穴を作ります。まき穴に4~5粒の種を入れ、土を被せてたっぷりと水やりしましょう。発芽までは乾燥に気をつけてください。
発芽が始まったら、水やりを朝だけに減らしてください。本葉が2~3枚になったときに育ちの良い葉を3本残して間引きします。その後、本葉が5~6枚になったら2回目の間引きをして1本立てにします。
あらかじめ肥料が入っている培養土を使う場合は、収穫まで追肥をしなくても収穫できますが、間引きのタイミングで化成肥料を土に混ぜれば、生長が促されます。
なお、アブラナ科の小かぶにはアオムシなどの害虫が付きやすいです。害虫を見つけたら、こまめに取り除いて、駆除しましょう。葉をキレイな状態で残したい場合は、防虫ネットを使うのがおすすめです。
小かぶの収穫時期
土から出ている部分が4~5㎝程度になったら収穫しましょう。収穫が遅れると、スが入って味が落ちたり、裂果したりするため、早めに引き抜くのがおすすめです。
水菜
鍋料理やサラダなどで活躍する野菜。関東ではキョウナと呼ばれることもあります。害虫に気をつければプランターで簡単に栽培できます。
基本情報
春から秋まで育てられるアブラナ科の野菜。プランターで育てる時は直播するのがおすすめです。一般地で3月~10月頃まで種をまけますが、対暑性や耐寒性は品種によって違うので、種袋などを確認し、時期に合わせて品種を選びましょう。
育て方
プランターに土を入れて深さ約1㎝のまき溝を作ります。約1㎝間隔で種をまき、乾燥しないように水やりをして発芽を待ちましょう。発芽したら、朝にのみ水やりをして生長させます。
生長したら本葉1~2枚で株間2~3㎝、本葉3~4枚で株間5㎝に間引きましょう。小さい間に収穫したい場合は株間5㎝で育てて大丈夫ですが、大きく育てたい時は込み合った部分を間引いて最終的に株間を15cmにしてください。
追肥は葉の成長スピードを見ながら、収穫までに1~2回行うと良いでしょう。
水菜にはコナガやアブラムシなどの害虫が付きやすいです。生育中に害虫の被害にあうと、一晩で生長が止まったり、病気にかかったりすることもあるので、防虫ネットをかけて害虫の侵入を予防しましょう。
水菜の収穫時期
小株や中株で収穫する場合は草丈が25~30㎝になった時が収穫タイミングです。大株まで育てる場合は草丈が30㎝以上で収穫しましょう。収穫時は株元を掴んで引き抜き、はさみなどで根の部分を切ってください。
収穫後の古い土を再利用する場合は、病気を防ぐためにしっかりと残った根を取り除きましょう。
まとめ
自分で育てた新鮮な野菜の味は別格です。初心者でもミニトマトやナスなどは簡単に収穫できるので、気になる人はプランターで野菜を栽培してみてはいかがでしょう。